リタリン
医薬品 (劇薬、向精神薬、指定医薬品、要指示医薬品)塩酸メチルフェニデートを主成分(1錠中塩酸メチルフェニデート10mg)とする中枢神経刺激薬。
ADHD(注意欠陥多動障害)やナルコレプシー(睡眠障害)の治療薬として用いられる。
副作用として、体重減少・うつ症状・発達不全などがあり、依存性も高いため、医師による診断と投薬コントロールが必須である。
唯一の合法的覚醒剤として愛好家がいるため悪名高い(気持ちよくなる)が、医師の指示に従って正しく服用すれば問題はない。
■【効能又は効果】
ナルコレプシー 抗うつ薬で効果の不十分な下記疾患に対する抗うつ薬との併用
難治性うつ病、遷延性うつ病
■【用法及び用量】
ナルコレプシーには、塩酸メチルフェニデートとして、通常成人1日20~60mgを1~2回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
難治性うつ病、遷延性うつ病には、塩酸メチルフェニデートとして、通常成人1日20~30mgを2~3回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
■【使用上の注意】
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
てんかん又はその既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させ、発作を誘発させるおそれがある。〕
■【副作用】
承認時まで及び承認後の副作用調査例数の累計325例中201例(61.9%)に副作用が認められ、主な症状としては口渇(32.9%)、頭痛(14.8%)、発汗(24.3%)、食欲減退(16.9%)等がみられている。(本剤はうつ病については副作用頻度が明確となる調査を実施していないため、ナルコレプシーについて行われた調査を集計した。)
重大な副作用(頻度不明)
1)剥脱性皮膚炎:症状があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2)脳動脈炎及び梗塞、狭心症:症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
■【過量投与】
徴候、症状:主に中枢神経系の過剰刺激及び過度の交感神経興奮に起因する次の諸症状嘔吐、激越、振戦、反射亢進、筋攣縮、痙攣(昏睡を続発することがある)、多幸感、錯乱、幻覚、せん妄、発汗、潮紅、頭痛、高熱、頻脈、心悸亢進、不整脈、高血圧、散瞳、粘膜乾燥
処置:症状に応じた支持療法を行う。自己損傷の防止、過刺激症状をさらに悪化させる外部刺激の排除に留意。
徴候、症状がそれほど重篤でなく、患者に意識がある場合には催吐あるいは胃洗浄によって胃内容物を除去する。重篤な場合は胃洗浄の前に短時間作用型バルビツール酸系薬剤を用量に注意し投与する。血液循環と呼吸の維持に集中治療を行う。高熱に対しては物理的な解熱処置をとる。リタリン過量服用に対する腹膜透析� ��血液透析の有効性は確立していない。
[薬物分類上の位置]
リタリン(Ritalin、チバガイギー-ノバルティス.)は、化合物名を塩酸メチルフェニデート(methylphenidate hydrochloride)といいますが、商品名リタリンの方が一般に知られており、インターネットなどでも、もっぱら商品名が使われています。中枢神経興奮剤であり、アメリカの精神障害診断基準、DSM-4(1994)でも、物質関連障害の章のアンフェタミン様物質にメチルフェニデートが含まれることが明記されています。リタリンの中枢神経興奮作用はメタンフェタミンとカフェインの中間であるとされています。リタリン使用によって爽快感や多幸感が得られる場合があり、また食欲抑制作用があることから「やせ薬」として使用されることがあり、乱用依存につながる原因になっています。乱用によって覚せい剤乱用と同様の幻覚妄想などの副作用をひきおこします。リタリンは長期大量投与により耐性を生じますが、この耐性には、コカイ ンやアンフェタミンとの交叉性があります。
このように、リタリンは薬理作用からは覚せい剤、アンフェタミン類に分類されますが、医療薬として処方される薬物であり、法律上も覚せい剤ではなく、向精神薬として扱われます。
リタリンの作用機序は、他のアンフェタミン類のそれと同じで、シナプス前部でのモノアミン類(ドパミンとノルアドレナリン)の放出を促進し、再取り込みを抑制することによって、神経伝達物質であるドパミンやノルエピネフリンの脳内シナプス間隙における濃度を上昇させ、その結果として脳の一部の機能を活性化すると推定されています。メチルフェニデートは内服1~2時間以内に、脳内濃度が最大となり、4~5時間後には作用がなくなります。不眠などの副作用を避けるために、1日1回朝食後または、1日2回朝昼食後に服用します。
[危険性と規制]
日本において、向精神薬は、その乱用の危険性および医療上の有用性の程度により第一種から第三種までの3種類に分類され、それぞれ規制内容が異なります。最� �危険性が高い第一種向精神薬で市販されているものは、リタリン(塩酸メチルフェニデート)とアイオナール・ナトリウム注射用200mg(セコバルビタールナトリウム、三菱ウェルファーマ)だけです。イソミタール、レペタン、ロヒプノール・サイレース、ソセゴン・ペンタジン、ラボナなど少数の薬剤が第二種向精神薬、そのほかの乱用薬剤、ハルシオン、ベゲタミンA・B、ユーロジン、マイスリー、ワイパックス、ベンザリン、ホリゾン・セルシン、セパゾンなどほとんどのものは第3種向精神薬です。
U.S. Drug Enforcement Administration (米国麻薬取締局)による薬物乱用の危険度表示では、リタリンはアンフェタミン、コカインなどと並んで、 "Schedule 2"にランクされています。このランクは、危険性の高いものから順に5段階に分けた2段階目にあたるものです。リタリンは、医学的用途がある薬物であるが、使用量、使用目的、使用日の記録を保存しておかねばならない、と厳しく規制されています。
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